交通違反したらどうなるの?反則金とは
運転者なら交通違反をしないように日々の運転をしたいところですが、運転に慣れれば慣れるほど、うっかり交通違反をしてしまう人は多いのではないでしょうか?
交通違反をしたらどうなるの?反則金って何、罰金とは違うの?その疑問お答えいたします。
1. 交通違反を犯すとどんな責任を負うの?
交通違反というと「違反点数が増えてしまう」という罰則を思い浮かべるのではないでしょうか?
交通違反を犯したものには違反点数だけではなく、負わなければならない責任は3つ存在します。
まず1つ目は、行政上の責任いわゆる行政処分です。
交通違反と聞いてみなさんが一番最初に思い浮かべる「違反点数」が行政処分に当てはまります。
違反点数は引かれていくものだと思っている方がいますが、日本では累積方式をとっていて、最初は持ち点0から始まり、交通違反をする度に、その違反の種類によって点数が加算されていきます。交通事故の人身事故の場合、相手の損害の大きさによって加算点数が決まります。物損事故の場合は違反点数の加算はありません。
過去3年分の点数が合算され、一定の点数を超すと免許停止や免許取消といった処分の対象となります。
これまで自分が累積している点数がどのくらいか確認したい場合は自動車安全運転センターにて『累積点数等証明書』を取得し確認することができます。
また、通称「青キップ」といわれる交通反則告知書を渡され、反則金の支払いを求められます。速度超過など軽微なものがこれに当てはまります。
違反点数と反則金の主な点数と金額は以下です。
【交通違反の点数・反則金一覧】
違反行為の種別 | 点数 | 金額(普通車) |
---|---|---|
信号無視(赤色等) | 2 | 9000円 |
信号無視(点滅) | 2 | 7000円 |
追越し違反 | 2 | 9000円 |
携帯電話使用違(交通の危険) | 2 | 9000円 |
通行禁止違反 | 2 | 7000円 |
速度超過(50以上) | 12 | 35000円 |
速度超過(30(高速40)以上50未満) | 6 | 25000円 |
速度超過(25以上30(高速40)未満) | 3 | 18000円 |
速度超過(20以上25未満) | 2 | 15000円 |
速度超過(15以上20未満) | 1 | 12000円 |
速度超過(15未満) | 1 | 9000円 |
※この他にもたくさんの違反行為が定められています。詳しくは警視庁のHPに乗っていますのでご確認下さい。
また、免許停止などの基準点は以下になります。
【免許停止・取消基準】
点数\前歴 | なし | 1回 | 2回 | 3回 | 4回以上 |
---|---|---|---|---|---|
1 | |||||
2 | 停止90日 | 停止120日 | 停止150日 | ||
3 | 停止60日 | 停止120日 | 停止150日 | 停止180日 | |
4 | 停止60日 | 停止150日 | 取消1年(3年) | 取消1年(3年) | |
5 | 停止90日 | 取消1年(3年) | 取消1年(3年) | 取消1年(3年) | |
6 | 停止30日 | 停止90日 | 取消1年(3年) | 取消1年(3年) | 取消1年(3年) |
7 | 停止30日 | 停止90日 | 取消1年(3年) | 取消1年(3年) | 取消1年(3年) |
8 | 停止30日 | 停止120日 | 取消1年(3年) | 取消1年(3年) | 取消1年(3年) |
9 | 停止60日 | 停止120日 | 取消1年(3年) | 取消1年(3年) | 取消1年(3年) |
10-11 | 停止60日 | 取消1年(3年) | 取消1年(3年) | 取消2年(4年) | 取消2年(4年) |
※( )内の年数は、免許取消歴等保有者が一定期間内に再び免許の拒否・取消し又は、6か月を超える運転禁止処分を受けた場合の年数を表します。
※10を超える点数につきましては警視庁のHPをご確認下さい。
2つ目は民事上の責任です。
交通違反によって人に怪我を負わせてしまったり、物を壊してしまった場合、被害者への金銭的な損害賠償の責任が生じます。支払は過失割合に応じて行います。
保険に加入をしていれば、保険会社がすべて支払ってくれますので、金銭的負担をすることは基本的にはありません。しかし、被害額が大きく、保険の支払上限額を超えた場合は、超えた分については自分で支払わなくてはいけません。
3つ目は刑事上の責任です。
被害者を負傷させてしまった場合や酒気帯び運転などの危険運転をした場合などの重い違反については、刑事上の責任が問われます。
いわゆる「赤きっぷ」といわれる告知書が渡され刑事罰や罰金を求められます。
これまでの刑罰得の有無を確認したい場合は自動車安全運転センターにて『無事故無違反証明書』または『運転記録証明書』を取得し確認することができます。
2. 反則金と罰金の違い
よく「交通違反をしたら罰金を取られる。」というのを耳にすると思います。
しかし、交通違反をしたら必ず罰金を取られるわけではありません。
罰金と呼ばれるお金の制裁を受けなければならないのは、刑事上の責任を取らなければならない場合だけです。前段でお話ししたように酒気帯び運転や危険運転などの重い違反行為をした場合に限られます。
「罰金を納めれば、刑事罰は負わなくて済むんでしょ?」と思った方がいるかと思いますが、それは違います。罰金自体が罰金刑という刑罰に処されているのです。つまり禁錮刑や懲役刑を受けているのと同等の処分を受けていることになります。払わないという選択肢はなく、払わない場合は禁錮刑や懲役刑に処されます。
また、この場合、刑事罰を科されていることになりますので、前科がついていることになります。
一方で、反則金は刑罰ではなく、交通反則通告制度に基づいた行政処分における過料制度です。
車社会になり交通事故が多発するようになった昭和43年7月1日から施行されており、その罪の重さに関わらず、すべての人が前科者になってしまうのは刑事政策状よくないという部分と多くの違反者を全て刑事手続きに乗せるのは不可能であることからできた制度です。
刑事事件として刑事手続きを起こされるはずの人に対し、反則金という過料科すことで刑事手続きを免除するものです。反則金を支払う行為をした者は反則者と呼ばれます。
反則金は、罰金とは違い、支払うことにより、刑事手続きをせずに済み、また、前科がつかない制度です。
3. 反則金納付の方法
では、実際に反則金を支払えと言われた場合、どうすればいいのでしょうか?
反則金の支払いを言い渡される場合にはいわゆる「青キップ」と呼ばれる交通反則告知書とともに告知の際に仮納付書が渡されます。仮納付書には支払期限が定められており、期限は告知翌日から7日間です。この7日以内に銀行または郵便局で納付をします。反則金は分納は出来ず、一括で振り込む必要があります。
仕事があるからなかなか振込に行けないという方もいるかと思いますが、納付は本人ではなく、代理人でも行うことも可能です。
仮納付書は7日を過ぎてしまうと使えなくなってしまうので、振込期限が切れてしまった場合は、キップが切られた管轄の通告センターにて本納付書と交通反則通告書を発行してもらう必要があります。
青色キップに出頭日時があらかじめ指定されていますから、振込期限が切れてしまった場合は、指定日時に通告センターへの出頭が必要です。
本納付書の振込期限は発行の翌日から10日間です。仮納付書と同じく、銀行や郵便局での振込が可能です。
仮納付書をなくしてしまった場合も通告センターにて本納付書の発行が可能ですから、通告センターへ出向き納付書をうけとりましょう。
県外での違反の場合は、管轄の通告センターから郵送されてきます。郵送されてきた場合は反則金に加えて、郵送費の支払いが必要です。
指定日時に通告センターに出頭しない場合は、概ね、1か月後に納付書と交通反則通告書が送られてきます。
こちらも県外からの郵送時と同様に郵送費を加えて支払が必要です。
4. 反則金を踏み倒すとどうなる?
前章にて一般的な反則金の支払方法について説明しました。反則金は数千円か高くても数万円です。
それにも関わらず、青色キップは仮納付の期限が切れ、本納付書も無視し、支払わないという人がいます。反則金の支払を拒否し続けたらどうなるのでしょうか?
よく「青色キップの反則金は任意でしょ?」とか「支払わずに逃げたものが勝ち」という方がいます。これは完全な間違いです。
納付書の裏書に「反則金は任意です」と記載されていることがあります。これを見て「任意なら払わなくていいんでしょ?」と思われる方がいらっしゃるようですが、その文言の続きが重要です。
「通告を受けた翌日から○○日以内に納付した場合は、表記違反について刑事罰を科されなくなり、また、家庭裁判所の処分をうけなくなりますが、この期間に納付しなかった場合には刑事訴訟手続または少年審判手続きで処理されることになります」と記載されています。
つまり、反則金を支払わない場合は刑事罰を受けるということです。
再三の支払請求が来ているにも関わらず、支払わないでいると警察から出頭要請がきます。出頭し違反を認めた場合は、その場で反則金と同等程度の金額を支払えばそれで終了です。
出頭しない場合は、その滞納の悪質性によっては逮捕されます。
出頭して違反を認めない場合や、出頭しなかったため逮捕された場合、成人の場合は検察庁へ書類送検され、起訴されると裁判になります。少年の場合は家庭裁判所へ書類が送付され、審判を受けることになります。
裁判になった場合は、ほとんど「略式裁判」といわれる手続きを取ることになります。略式裁判の場合は、各都道府県の交通裁判所か簡易裁判所で警察や検察が提出した書面だけで裁判が行われます。この略式裁判により、略式命令が出された場合、罰金を支払わなければなりません。
支払い金額は反則金と同等程度の金額と言われているため、青色キップと対して変わりませんが、赤色キップと同等の処罰なわけですから、前科がついてしまいます。
5. まとめ
交通違反をしたらどうなるのか、違反点数と罰金、反則金について説明してきました。
交通違反をしてしまった場合には、きちんと反則金を納めるようにしましょう。
支払猶予があるにも関わらず、数千円を払わなかったことで、前科がついてしまったのでは元も子もありません。
きちんと支払いを済ませ、楽しいドライバーライフを過ごしましょう。