渋滞中の交通事故に遭わないために気をつけたいこと

ゴールデンウィークや年末年始などの大型連休にはドライブされる方も多いことでしょう。
しかし、行楽シーズンに「渋滞」はつきもの。頭を悩ませる問題です。渋滞時には、事故に巻き込まれるのではないかとヒヤッとした経験も多いのではないでしょうか。
渋滞の原因や渋滞時に気を付けたいことについて詳しくご説明いたします。

1. 渋滞が発生するしくみ

大型連休や行楽シーズンには、余暇の楽しみ方としてドライブを選択する方も多いのではないでしょうか。
夏休みの旅行では羽を伸ばしてゆっくり行動するために、飛行機や電車ではなく時間に縛られない車での移動を考える人も多いかと思います。

ドライブは自分の旅行プランに合わせて自由に計画できるということが大きなメリットです。
とはいえ、いい事ばかりではありません。ドライバーの頭を悩ませる問題に「渋滞」があります。
渋滞に巻き込まれると時間の管理が難しくなり、計画していた予定が全て台無しになることもあります。
ドライバーを悩ませる渋滞の原因は大きく3つのパターンにわけることができます。

 ①道路補修・交通規制渋滞
 ②事故渋滞
 ③交通集中渋滞

この3つです。

①道路補修・交通規制は、道路の補修工事、チェーン規制や検問などの交通規制の際に起こる渋滞です。
道路の補修や交通規制の場合、道路を一部封鎖するため道幅が狭くなります。そのため道路の機能が通常よりも小さくなって通行可能な車の台数が減り、車の流れが滞ることで渋滞が発生します。
また、チェーン規制や検問のような交通規制の場合は、車を一時停止させることが渋滞の引き金となります。近年ではチェーン規制がさらに厳しくなったため、冬の高速道路ではよく見る光景です。
一時的な渋滞なので、原因となる工事や規制が解除されれば渋滞も解消します。

②の事故渋滞はその名の通り、交通事故によって発生する渋滞です。
事故の場合、事故車によって道がふさがれたり、事故処理のため警察によって道が封鎖されたりします。それにより、通常よりも少ない台数の車しか道を通ることができなくなって通行が滞り、渋滞が発生します。
また、事故渋滞の時には緊急車両が通れるだけのスペースを確保しなければならないと定められています。したがって使える道幅は余計に限られることになり、渋滞はさらに加速します。
こちらも原因となる事故車が取り除かれれば渋滞は解消されるので、一時的な渋滞といえます。

③の交通集中渋滞は、発生頻度が圧倒的に多い渋滞です。
これは、単純に走る車の量が増えたことによって起こるものです。ゴールデンウィークなどの連休時に遭遇する渋滞は、ほとんどがこの渋滞です。
上り道や下り道では、ブレーキを踏むことが増えます。また、ドライバーは感覚的に坂道では速度を落とします。一台の車がブレーキを踏めば、後ろの車もそのまた後ろの車もブレーキを踏むことになります。前方の車のスピードが落ちれば、車間距離を保とうと後続車は余計に速度を落とすことになります。この連鎖が重なって全体的に流れが遅くなり、やがて止まる車が現れて、そこから渋滞が引き起こされます。
通常であれば問題とならない程度の減速であっても、車の量が増えれば影響も大きくなります。トンネルの入口や合流部分でも速度が落ちるようになるので、そういった箇所も渋滞の原因となります。

また、行楽シーズンは普段運転しない人が車に乗って遠出することも増えます。運転に不慣れなドライバーが増えるので、ベテランドライバーよりも停止することが多かったり低速で走る車が多くなります。こうした影響で車の流れが滞りやすくなることも渋滞の原因の一つです。

2. 渋滞時に多い交通事故は?


渋滞中はあまり車が動かないので油断しがちですが、渋滞中も安全には気をつけなければなりません。渋滞時に起こる事故の中で最も多い事故は、追突事故です。
前方で渋滞が発生していることに気がつかず、減速が遅れた後続車が突っ込んでしまうために起こります。この場合、追突された側の車は停車しているので、基本的には被害者であり過失はつきません。過失割合は突っ込んだ後続車側に100%あると認定されることがほとんどです。

しかし、必ず被害者側の過失が0になるとは言い切れません。
たとえば整備の不具合により停車前にハザードランプを点灯させられなかったなど、渋滞であることを後続車に勧告出来なかった場合は、適切な停車措置ではなかったとして被害者側も過失を取られることがあります。
また、道路交通法により高速道路では駐停車禁止と定められています。そのため、高速道路で停車する時は必ず後続車に停車する旨を伝えなければなりません。ハザードランプ点灯などで後続車に停車や危険を伝えることを「勧告措置」というのですが、この勧告措置を怠ったことによって事故が引き起こされた場合には、被害者側にも10%から20%程度の過失がとられることがあります。

3. 渋滞中の事故に巻き込まれないために

渋滞時に事故に巻き込まれないようにするためには、自分から対策を取ることが必要です。
有効とされる方法はいくつかあります。中でも事故に巻き込まれないために最低限気をつけたいことはなんでしょうか。

先ず一つ目は車間距離を取ることです。
渋滞時の事故は追突事故が最も多いとされます。追突事故を防ぐためには、車間距離を保つことが一番重要です。
車は急には止まれないため、車間距離が短いほど追突は起こりやすくなります。とはいえ、車間のとりすぎは渋滞をさらに深刻にさせることにもつながります。前の車に急ブレーキを踏まれても慌てずに停止できるように適度な車間距離をとるようにしましょう。自分が止まれずに事故の加害者とならないようにするためでなく、適度な車間距離によって自分が急ブレーキを踏まなくても済むようになるため、追突されないように防衛することにもつながります。

二つ目は走行車線を走ることです。
高速道路の場合には、追越し車線ではなく走行車線を走ることで渋滞を回避できる可能性があります。国土交通省の調べでは、追越し車線は混雑時には通常時の2倍の車が走行しているというデータがあります。そのため、走行車線よりも追越し車線で早く渋滞が始まり、抜け出すことが難しくなります。
また、渋滞時に事故が起これば多重玉突き事故へと発展することも考えられます。事故に遭わないためには、できるだけ短時間で渋滞を抜け出すことも大切です。

渋滞中は一向に車が進まない状況なので、ドライバーには相当のストレスが溜まります。ストレスは焦りやイライラといった感情を膨らませます。渋滞を抜けた後には、その解放感から速度をあげすぎて事故につながることも考えられます。走行車線でゆったりとリラックスした気持ちで走行する方が、事故を避けるだけでなく気分的にも楽にドライブできるでしょう。

三つ目は、渋滞情報をこまめに確認することです。
渋滞を事前に回避することも、事故に遭わないようにする一つの方法です。高速道路では交通情報をラジオで聞くことができます。また、一般道や高速道路に設置してある電光掲示版には渋滞情報が載っています。早め早めに情報を得て、一般道を選ぶか高速道路を選ぶか、どの道を使うかを見定めることも大切です。最近ではカーナビで渋滞情報を確認することも可能です。
また、渋滞を回避することができないとしても、前方で渋滞が起こっていると知っているだけでも効果はあります。注意して運転することで追突事故を防ぐことができますし、不意の渋滞で予定が崩れて焦ってしまうという状況も避けられます。

ただし、渋滞情報が見たいからといって運転中に携帯をいじることはやめましょう。
運転中の携帯電話の使用により交通事故を起こした場合には、3か月以下の懲役又は5万円以下の罰金、違反点数は2点加点されます。
事故を起こさなかった場合でも、携帯電話使用等の保持と認定されると5000円以下の罰金、違反点数は1点加点されてしまいます。
運転中の携帯使用は絶対にやめましょう。

4. 渋滞を避けるために

渋滞を避けるためには運転する時間帯を見極めることが大切です。
早朝や深夜のほうが日中に比べて車の走行数が大幅に減るので、渋滞は起こりにくくなります。渋滞が起こりにくい状況なので、渋滞に巻き込まれることもなくなります。
また、渋滞予測や道路交通情報を確認して高速道路と一般道の使い分けをするなど、渋滞の起こりそうなルートを避けて計画を立てるのも有効です。

しかしながら、どれだけ対策をしても渋滞に巻き込まれてしまうことはあります。そんなときは、渋滞の原因を見極めることも大切です。迂回したり一般道におりたりすることが常に正しいとは限らないので、原因を見極めたうえで対応を考えましょう。

事故渋滞であれば、事故処理が終わるまで渋滞は解消はされません。この場合には道の迂回や高速道路から一般道路におりるという選択が、一番の渋滞回避策といえます。
しかし、事故渋滞以外の原因の場合は、そのまま渋滞解消を待った方が目的地まで早くつく可能性もあります。安易に迂回ルートを探そうとせず、渋滞の原因や規模を確認して対応した方が得策です。

5. まとめ

ゴールデンウィークや年末年始などには一斉に人が動き、多くの観光地で渋滞が予測されます。せっかくの休みには、イライラせずゆったりした気持ちで行楽地に足を運びたいですよね。
予定を早めに立てて、情報をうまく使って早めに行動することが、渋滞の回避につながります。遠出する場合には、旅先の楽しみを調べるだけではなく、交通情報も一緒に確認するようにしましょう。
今回ご紹介した渋滞回避術を駆使して、大型連休は渋滞に巻き込まれない有意義なドライブを楽しんでください。

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